家庭医療について

 よく ” 先生の専門は何ですか?” と質問されます。

一言で言うのがいつも難しいのですが、それをよく表している言葉が、米国の1997年の家庭医療学会のキャンペーンの言葉にあります。

 

それは、

“ 家庭医は あなたを専門にしている医師です

(the doctors who specialize in you) ”

という言葉です。

 

 私たちは、年齢・性別・臓器によらず、全てを専門にするとよく表現します。

つまり、皆さん一人一人の人生そのものが私たちの専門であり、皆さんと共に健康管理の大切なパートナーとして生涯過ごしていく事が私たちの存在意義なのです。

また、私がよく例としてあげるのは、家庭医は“小学校の先生と同じ”という表現です。

小学校の先生は、担任の先生が全ての教科を担当します。

また、子供の成長において、家庭同様に重要な意味を持ちます。

そして、その成長に寄り添いながら共に成長していきます。

まさに患者さんと共に成長していく家庭医の姿と重なると思います。

私たちの専門は、皆さん一人一人です。

相談してはいけない事はありません。

まず何でも気兼ねなく相談していただければと思います。

 

 また、ここでよく勘違いされるのは、“家庭医は何でも診るのですか?”という事です。

何でも相談に乗りますし、診療しますが、必要があれば専門医に紹介します。

地域医療の問題の80%は家庭医が解決できると言われています。

残りの20%は専門医との連携が必要です。

 

 家庭医になるには、前述のように広範で質の高い知識・技術が必要になります。

そのため専門の研修が必要です。

現在日本でも少しずつ研修プログラムが立ち上がってきていますが、川崎医療生協もいち早くあさお診療所・久地診療所で研修医を受け入れてきています。

川崎は全国でも屈指の家庭医の集まっている地域です。

この度、川崎セツルメント診療所も2011年4月より家庭医療を提供する診療所となりました。

また同時に家庭医の教育施設にもなりました。

ぜひ“皆様の専門医”である家庭医の診療所にいらしていただき、健康作りのパートナーとして活用していただけたらと思います。